労働基準法(第2章-労働契約)rkh28AB

 rkh28AB最高裁判所は、労働基準法第19条第1項の解雇制限が解除されるかどうかが問題となった事件において、次のように判示した。
 「労災保険法に基づく保険給付の実質及び労働基準法上の災害補償との関係等によれば、同法〔労働基準法〕において使用者の義務とされている災害補償は、これに代わるものとしての労災保険法に基づく保険給付が行われている場合にはそれによって実質的に行われているものといえるので、使用者自らの負担により災害補償が行われている場合とこれに代わるものとしての同法〔労災保険法〕に基づく保険給付が行われている場合とで、同項〔労働基準法第19条第1項〕ただし書の適用の有無につき取扱いを異にすべきものとはいい難い。また、後者の場合には  A  として相当額の支払がされても傷害又は疾病が治るまでの間は労災保険法に基づき必要な療養補償給付がされることなども勘案すれば、これらの場合につき同項ただし書の適用の有無につき異なる取扱いがされなければ労働者の利益につきその保護を欠くことになるものともいい難い。 そうすると、労災保険法12条の8第1項1号の療養補償給付を受ける労働者は、解雇制限に関する労働基準法19条1項の適用に関しては、同項ただし書が  A  の根拠規定として掲げる同法81条にいう同法75条の規定によって補償を受ける労働者に含まれるものとみるのが相当である。
 したがって、労災保険法12条の8第1項1号の療養補償給付を受ける労働者が、療養開始後  B  を経過しても疾病等が治らない場合には、労働基準法75条による療養補償を受ける労働者が上記の状況にある場合と同様に、使用者は、当該労働者につき、同法81条の規定による  A  の支払をすることにより、解雇制限の除外事由を定める同法19条1項ただし書の適用を受けることができるものと解するのが相当である。」
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正解
 A→打切補償
 B→3年
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(平成27年6月9日基発0609第4号)
1 労基法第19条第1項ただし書の解釈にかかる同判決の要旨は次のとおりであること。
(1) 労基法上の使用者の災害補償義務は、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号。以下「労災保険法」という。)に基づく保険給付(以下「労災保険給付」という。)が行われている場合には、それによって実質的に行われているといえるので、災害補償を使用者自身が負担している場合と、労災保険給付が行われている場合とで、労基法第19条第1項ただし書の適用を異にすべきものとはいい難い。
(2) 労災保険給付が行われている場合は、打切補償として相当額の支払がされても傷病又は疾病が治るまでは必要な給付が行われるため、労基法第19条第1項ただし書の適用があるとしても、労働者の利益につきその保護に欠くことになるものともいい難い。
(3) したがって、労災保険法第12条の8第1項第1号の療養補償給付を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても疾病等が治らない場合には、労基法第75条による療養補償を受ける労働者が上記の状況にある場合と同様に、使用者は、当該労働者につき、同法第81条の規定による打切補償の支払をすることにより、解雇制限の除外事由を定める同法第19条第1項ただし書の適用を受けることができるものと解するのが相当である。
2 今後における労基法第19条第1項ただし書の適用にかかる解釈運用は、上記1の(3)によって行うものであること。

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