労災保険法(第5章-②損害賠償との調整)rsh0904C

★★● rsh0904C障害補償年金の受給権者が、同一の事由について事業主から民事損害賠償を受けることができる場合において、事業主に対して民事損害賠償を請求する時点で、当該労働者について障害補償年金又は当該障害補償年金に係る障害補償年金前払一時金がいまだ支給されていないときは、厚生労働大臣が定める基準により、当該年金額を現価に引き直した額の限度で、事業主はその民事損害賠償の責めを免れる。
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 障害(補償)年金又は遺族(補償)年金の受給権者(当該年金給付の受給権を有することとなったときに、当該年金給付に係る前払一時金を請求することができる者に限る)が、同一の事由について、事業主から民事損害賠償を受けることができるときは、事業主は受給権者の年金受給権が消滅するまでの間、前払一時金給付の最高限度額相当額の限度で、その損害賠償の履行が猶予され(履行の猶予)、その後、年金受給権者に労災保険から年金給付又は前払一時金給付が支給される都度、その支給額の法定利率による現価の限度で損害賠償の責任が免除される免責)。
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 すなわち、使用者の民事賠償責任について、一度に免責するのではなく、一応その分について賠償の「履行を猶予」しておき、現実に労災保険から給付が行われたときにその給付額分を最終的に「免責」する方法をとっています。

 いきなり「免責」となるわけではありません。平成9年において、ひっかけが出題されています。
rss57ABCD次の文中の     の部分を適当な語句で埋め、完全な文章とせよ。

 業務災害又は通勤災害に関する保険給付の原因である事故が、事業主の有責な行為等によって生じ、被災労働者又はその遺族に対して事業主に損害賠償責任が発生する場合がある。このような事故について保険給付と損害賠債の調整の概要は次のとおりである。

①損害賠償の側における調整 
 障害補償年金若しくは障害年金又は遺族補償年金若しくは遺族年金の受給権者(これらの年金の受給権を有することとなったとき、これらの年金に係る  A  を請求することができる者に限る。)が、  B  について、事業主から損害賠償(これらの  C  によっててん補される損害をてん補する部分に限る。)を受けることができるときは、当分の間、その事業主は、これらの者の年金受給権が消滅するまでの間、これらの年金に係る  A  の最高限度額(法定利率による現価)の限度で当該損害賠償の履行が  D  される。

附則第64条 
○1 労働者又はその遺族が障害補償年金若しくは遺族補償年金又は障害年金若しくは遺族年金(以下この条において「年金給付」という。)を受けるべき場合(当該年金給付を受ける権利を有することとなつた時に、当該年金給付に係る障害補償年金前払一時金若しくは遺族補償年金前払一時金又は障害年金前払一時金若しくは遺族年金前払一時金(以下この条において「前払一時金給付」という。)を請求することができる場合に限る。)であつて、同一の事由について、当該労働者を使用している事業主又は使用していた事業主から民法その他の法律による損害賠償(以下単に「損害賠償」といい、当該年金給付によつててん補される損害をてん補する部分に限る。)を受けることができるときは、当該損害賠償については、当分の間、次に定めるところによるものとする。
1 事業主は、当該労働者又はその遺族の年金給付を受ける権利が消滅するまでの間、その損害の発生時から当該年金給付に係る前払一時金給付を受けるべき時までの法定利率により計算される額を合算した場合における当該合算した額が当該前払一時金給付の最高限度額に相当する額となるべき額(次号の規定により損害賠償の責めを免れたときは、その免れた額を控除した額)の限度で、その損害賠償の履行をしないことができる。
2 前号の規定により損害賠償の履行が猶予されている場合において、年金給付又は前払一時金給付の支給が行われたときは、事業主は、その損害の発生時から当該支給が行われた時までの法定利率により計算される額を合算した場合における当該合算した額が当該年金給付又は前払一時金給付の額となるべき額の限度で、その損害賠償の責めを免れる。
(引用:労災コンメンタール附則64条)
 第1項においては、障害補償年金、遺族補償年金、障害年金又は遺族年金の受給権者が、同一の事由について、事業主からこれらの年金給付に相当する民事損害賠償を受けることができるときは、その事業主は、これらの者の年金受給権が消滅するまでの問、前払一時金の最高額相当額の法定利率による現価(当該前払一時金に係る年金給付等が支給された場合には、その支給額の法定利率による現価を控除した価額)の限度で、民事損害賠償の履行をしないことができることとされている。

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