労働基準法(第4章-労働時間③)rkh2206E

★★ rkh2206E年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは労働者の自由であるが、使用者の時季変更権を無視し、労働者がその所属の事業場においてその業務の正常な運営の阻害を目的として一斉に休暇届を提出して職場を放棄する場合は、年次有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇権の行使ではない。
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○正解
 労働者がその所属の事業場において、その業務の正常な運営の阻害を目的として、全員一斉に休暇届を提出して職場を放棄・離脱するものと解するときは、その実質は、年次休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、その形式いかんにかかわらず、本来の年次休暇権の行使ではないとするのが最高裁判所(昭和48年3月2日最高裁判所第二小法廷白石営林署事件)の判例である。
詳しく
(昭和48年3月6日基発110号)
 昭和48年3月2日、労働基準法第39条の解釈について最高裁第二小法廷判決がなされたので、今後における同条の解釈運用は左記によって行なうので、遺憾のないようにされたい。
(一)年次有給休暇の権利は、法定要件を充たした場合法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまってはじめて生ずるものではない。同条第4項の「請求」とは休暇の時季を指定するという趣旨であって、労働者が時季の指定をしたときは、客観的に同項ただし書所定の事由が存在し、かつ、これを理由として使用者が時季変更権の行使をしない限り、その指定によって年次有給休暇が成立し、当該労働日における就労義務が消滅するものと解するのが相当である。このように解するならば、年次有給休暇の成立要件として、労働者による「休暇の請求」や、これに対する使用者の「承認」というような観念を容れる余地はない。
(二)年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは労働者の自由である。しかし、労働者がその所属の事業場においてその業務の正常な運営の阻害を目的として一斉に休暇を提出して職場を放棄する場合は、年次有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇権の行使ではない
 ただ、このようにいえるのは、当該労働者の所属する事業場で休暇闘争が行なわれた場合のことであって、他の事業場における争議行為に休暇をとって参加するような場合は、それを年次有給休暇の行使でないとはいえない。

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rkh1405D労働基準法第39条の年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは、労働者の自由であるが、労働者がその所属の事業場においてその業務の正常な運営の阻害を目的として一斉に年次有給休暇を届け出て職場を放棄する場合は、年次有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇権の行使ではない。労働者が、他の事業場における争議行為に年次有給休暇をとって届け出て参加するような場合も、同様にそれは年次有給休暇権の行使ではない。×


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