小島撚糸事件
昭和35年7月14日最高裁判所第一小法廷
ストーリー
Y社の代表取締役であるAは法定の除外事由がないにかかわらず、時間外労働及び休日労働をさせながら、これに対し基本賃金の2割5分以上の割増賃金を支払わなかった。
なお、この時間外労働及び休日労働は労働基準法33条所定の行政官庁の許可を経て行われたものではなく、又、その事後承認があったわけでもなかった。
Y社における時間外労働及び休日労働は、労働基準法違反であると刑事告訴された。
Y社の代表取締役であるAは法定の除外事由がないにかかわらず、時間外労働及び休日労働をさせながら、これに対し基本賃金の2割5分以上の割増賃金を支払わなかった。
なお、この時間外労働及び休日労働は労働基準法33条所定の行政官庁の許可を経て行われたものではなく、又、その事後承認があったわけでもなかった。
Y社における時間外労働及び休日労働は、労働基準法違反であると刑事告訴された。
36協定を結んでいない場合の割増賃金の
支払義務規定はどこにも設けられていない。
たとえ法律に明記されていなくても、
時間外労働には割増賃金を支払う義務がある!
結 論 (Y社敗訴)
法33条(臨時の必要がある場合の時間外労働等)又は法36条(時間外及び休日労働)の条件を充足していない違法な時間外労働等であっても、割増賃金の支払義務があり、これに従わない場合には罰則の適用を免れない。
法33条(臨時の必要がある場合の時間外労働等)又は法36条(時間外及び休日労働)の条件を充足していない違法な時間外労働等であっても、割増賃金の支払義務があり、これに従わない場合には罰則の適用を免れない。
違法な時間外労働をさせた場合であっても、割増賃金は支払わなければならないか。
法33条または36条所定の条件を充足した時間外労働ないしは休日労働に対して、使用者が割増賃金支払の義務あることは法37条1項の明定するところであるが、右条件を充足していない違法な時間外労働等の場合はどうであろうか。法はこの点明示するところがないが、適法な時間外労働等について割増賃金支払義務があるならば、違法な時間外労働等の場合には一層強い理由でその支払義務あるものと解すべきは事理の当然とすべきであるから法37条1項は右の条件が充足された場合たると否とにかかわらず、時間外労働等に対し割増賃金支払義務を認めた趣意と解するを相当とする。果して、そうだとすれば、右割増賃金の支払義務の履行を確保しようとする法119条1号の罰則は時間外労働等が適法たると違法たるとを問わず、適用あるものと解すべきは条理上当然である。
答えを見る
法33条または36条所定の条件を充足した時間外労働ないしは休日労働に対して、使用者が割増賃金支払の義務あることは法37条1項の明定するところであるが、右条件を充足していない違法な時間外労働等の場合はどうであろうか。法はこの点明示するところがないが、適法な時間外労働等について割増賃金支払義務があるならば、違法な時間外労働等の場合には一層強い理由でその支払義務あるものと解すべきは事理の当然とすべきであるから法37条1項は右の条件が充足された場合たると否とにかかわらず、時間外労働等に対し割増賃金支払義務を認めた趣意と解するを相当とする。果して、そうだとすれば、右割増賃金の支払義務の履行を確保しようとする法119条1号の罰則は時間外労働等が適法たると違法たるとを問わず、適用あるものと解すべきは条理上当然である。
過去問
rkh2304E労働基準法第33条又は第36条に規定する手続を経ずして時間外又は休日労働をさせた場合においても、使用者は、同法第37条第1項に定める割増賃金の支払義務を免れない。
答えを見る
○
労働基準法(第4章-労働時間②)rkh2304E
法33条又は法36条に規定する手続を経ずして時間外又は休日労働をさせた場合においても、使用者は、法37条1項に定める割増賃金の支払義務を免れないとするのが最高裁判所の判例である。
rkh1805B労働基準法第37条には、「使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と規定されていることから、同法第37条に規定する割増賃金は、同法第33条又は第36条第1項の規定に基づき労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合に支払うべきものであって、これらの規定による手続を必要とする時間外又は休日の労働であっても、これらの規定による手続をとらずに行われたものに対しては割増賃金の支払の必要はない。
答えを見る
×
rkh1004B労働基準法第37条に規定する割増賃金は、同法第33条又は第36条第1項の規定に基づき労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合に支払うべきものであって、違法に時間外又は休日の労働を行わせた使用者には割増賃金の支払義務はない、というのが最高裁判所の判例の考え方である。
答えを見る
×
rks6102C使用者は、労働基準法第36条の協定を締結することなく、労働者を同法第35条の休日に労働させた場合には、労働基準法第35条違反の責任を問われるとともに、同法第37条の規定による割増賃金を支払わなければならない。
答えを見る
○
rks4805Aいわゆる36協定がないのに時間外労働をさせた場合でも割増賃金は支払わなければならない。
答えを見る
○