神戸弘陵学園事件

神戸弘陵学園事件

平成2年6月5日最高裁判所第三小法廷
ストーリー
 労働者Xは、学校法人Yの社会の教員として採用されたが、採用に当たり、採用後の身分は「常勤講師」とし、契約期間は「一応4月1日から1年」とすること、その後の「再雇用は1年間の勤務状態をみて判断をする」ことなどにつき説明を受けるとともに、口頭で、採用したい旨の申出を受けた。
 労働者Xは、1年後に雇用期間満了として退職させられたため、従業員たる地位を確認する訴えを提起した。
 

1年間勤務状態を拝見しましたが、

残念ながら再雇用はいたしません。

 

試用期間のある雇用契約だったのだから、

これは解雇になります。

 
 結 論  労働者X勝訴
 使用者が労働者を新規採用するにあたって、期間を設けて雇用した場合、この設けた趣旨・目的が、労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、その期間は期限付労働契約ではなく、「試用期間」である。この試用期間付雇用契約は、原則として解約権留保付雇用契約と考えられるため、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当として是認される場合にのみ留保解約権の行使ができる。   三菱樹脂事件

試用期間のある有期契約は、期間満了をもって解除することができるか。

 使用者が労働者を新規に採用するに当たり、その雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、右期間の満了により右雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は契約の存続期間ではなく、 rkh22A  であると解するのが相当である
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 使用者が労働者を新規に採用するに当たり、その雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、右期間の満了により右雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であると解するのが相当である。

 

 試用期間付雇用契約の法的性質については、試用期間中の労働者に対する処遇の実情や試用期間満了時の本採用手続の実態等に照らしてこれを判断するほかないところ、試用期間中の労働者が試用期間の付いていない労働者と同じ職場で同じ職務に従事し、使用者の取扱いにも格段変わったところはなく、また、試用期間満了時に再雇用(すなわち本採用)に関する契約書作成の手続が採られていないような場合には、他に特段の事情が認められない限り、これを解約権留保付雇用契約であると解するのが相当である。そして、解約権留保付雇用契約における解約権の行使は、解約権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当として是認される場合に許されるものであって、通常の雇用契約における解雇の場合よりもより広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべきであるが、試用期間付雇用契約が試用期間の満了により終了するためには、本採用の拒否すなわち留保解約権の行使が許される場合でなければならない。
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 試用期間付雇用契約の法的性質については、試用期間中の労働者に対する処遇の実情や試用期間満了時の本採用手続の実態等に照らしてこれを判断するほかないところ、試用期間中の労働者が試用期間の付いていない労働者と同じ職場で同じ職務に従事し、使用者の取扱いにも格段変わったところはなく、また、試用期間満了時に再雇用(すなわち本採用)に関する契約書作成の手続が採られていないような場合には、他に特段の事情が認められない限り、これを解約権留保付雇用契約であると解するのが相当である。そして、解約権留保付雇用契約における解約権の行使は、解約権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当として是認される場合に許されるものであって、通常の雇用契約における解雇の場合よりもより広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべきであるが、試用期間付雇用契約が試用期間の満了により終了するためには、本採用の拒否すなわち留保解約権の行使が許される場合でなければならない。

過去問

rkh22A「使用者が労働者を新規に採用するに当たり、その雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、右期間〔当該期間〕の満了により右雇用契約〔当該雇用契約〕が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間〔当該期間〕は契約の存続期間ではなく、 rkh22A  であると解するのが相当である。」とするのが最高裁判所の判例である。
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試用期間

 

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