「特定農作業従事者」は、特定作業に従事する者として、特別加入が認められている。「特定作業従事者」とは、「年間農業生産物総販売額300万円以上」又は「経営耕地面積2ヘクタール以上」の規模の事業で、①動力機械を使用して行う耕作等作業、②高さ2メートル以上の箇所における耕作等作業、③サイロ・むろ等の酸素欠乏危険場所における耕作等作業、④耕作等作業のうちの農薬散布の作業、⑤牛・馬・豚に接触し又はそのおそれのある耕作等作業、に従事するものをいう。
「一人親方等」とは、「一人親方」「一人親方が行う事業に従事する者」「特定作業従事者(特定農作業及び指定農業機械作業に従事する者など)」をいいます。平成24年は、このうち、それまで出題されたことがなかった「特定作業従事者」がテーマとして出題され、平成27年には選択式でも出題されました(同じ作問者だったのでしょうか)。
牛・馬は、蹴られたり噛まれたりする危険性が高く、豚は体重300キログラムにも及び、移送作業中の危険等が予測されるため対象作業となっています。
法第33条第5号の厚生労働省令で定める種類の作業は、次のとおりとする。
1 農業(畜産及び養蚕の事業を含む。)における次に掲げる作業
イ 厚生労働大臣が定める規模の事業場における土地の耕作若しくは開墾、植物の栽培若しくは採取又は家畜(家きん及びみつばちを含む。)若しくは蚕の飼育の作業であつて、次のいずれかに該当するもの
(1) 動力により駆動される機械を使用する作業
(2) 高さが2メートル以上の箇所における作業
(3) 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)別表第6第7号に掲げる酸素欠乏危険場所における作業
(4) 農薬の散布の作業
(5) 牛、馬又は豚に接触し、又は接触するおそれのある作業
対象事業場の規模の根拠
水稲栽培農家においては、経営耕地面積2ヘクタール(粗収益約310万円)以上の規模を有する農家では労働者を使用する割合が特に高くなるため、果樹農家や畜産・養蚕農家にも共通の基準として年間農業生産物総販売額300万円以上とすることとした。また、農業生産物総販売額の把握が困難な場合もあるため、経営耕地面積2ヘクタールの要件も付加的に加えることとした。
加入対象作業は、次のとおりである。次のいずれかの作業を、上記(1)の事業場において行う者が特別加入できることとなる。
① 動力機械を使用して行う耕作等作業
動力機械を使用して行う作業は、機械による身体の傷害の危険性が高いので、対象作業としたものである。
動力機械とは、動力(電動機、内燃機関等)により駆動される機械の総称をいい、現在の指定農業機械はすべて含まれる。
② 高さ2メートル以上の箇所における耕作等作業
労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第518条及び第519条の規定によっても、高さ2メートル以上の箇所は墜落の危険性が高いものと考えられており、高さ2メートル以上の箇所における耕作等作業も対象とすることとしたものである。
なお、40度以上の傾斜地については、水平面から2メートル以上の高さにあれば、その箇所における耕作等作業も対象となる。
③ サイロ・むろ等の酸素欠乏危険場所における耕作等作業
労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)別表第6第7号の酸素欠乏危険場所(穀物若しくは飼料の貯蔵、果菜の熟成、種子の発芽又はきのこ類の栽培のために使用しているサイロ、むろ、倉庫、船倉又はピットの内部)における作業は、酸素欠乏により酸素欠乏症にかかり又は死亡する危険性が高いため、対象としたものである。
④ 耕作等作業のうちの農薬散布の作業
農薬散布の作業は、農薬中毒にかかる危険性が高いため、対象作業としたものである。
「農薬」とは、農薬取締法(昭和23年法律第82号)第1条の2第1項に規定する薬剤であって、同法第2条第3項の規定により登録を受けたものをいう。
⑤ 牛・馬・豚に接触し又はそのおそれのある耕作等作業
牛・馬は、蹴られたり噛まれたりする危険性が高く、豚は体重300キログラムにも及び、移送作業中の危険等が予測されるため、対象作業としたものである。この3種類の家畜に限定した理由は、他の家畜の場合は、過去の例からみても、重大災害発生の可能性がほとんどないと見込まれるからである。
なお、調教は耕作等作業に該当しないので、対象とならない。
rsh2405A年間農業生産物総販売額300万円であって経営耕地面積1ヘクタールの農業の事業場における土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽培若しくは採取の作業で、動力により駆動される機械を使用するものに従事する者は、労災保険の特別加入の対象となる。○