労災保険法(第5章-②損害賠償との調整)rsh0904A

★★★ rsh0904A労働者又はその遺族が労災保険給付の支給を受けるべき場合であって、かつ、同一の事由により、事業主から民法その他の法律による損害賠償(以下「民事損害賠償」という。)を受けることができるとしたとき、労働者災害補償保険法附則第64条に基づく支給調整において、遺族補償年金の先順位の受給権者が遺族補償年金前払一時金を受けた後失権した場合に、後順位の受給権者が遺族補償年金を受けることとなったときには、後順位の受給権者について、民事損害賠償と遺族補償年金との支給調整が行われる。
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 遺族(補償)年金の支給調整に当たっては、遺族(補償)年金の受給権者が失権した後に当該受給権の転給を受けた転給後の後順位の受給権者については、仮に被災労働者の死亡に関し民事損害賠償を受けた場合であっても遺族(補償)年金の支給調整は行われない
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 転給時点が予測しがたいこと等事務処理の観点その他の事情を勘案してこのような取扱いが設けられています。

 具体例での出題がされています(平成8年)。
 
 遺族が妻と子であり、事業主からの損害賠償を半分ずつ受給。妻が再婚したため、子に遺族補償年金が転給されたケース。

 →支給制限は「妻」の遺族補償年金のみにおいて行われ、転給された「子」の遺族補償年金においては行われない。

(昭和56年10月30日基発696号)
 遺族(補償)年金の支給調整に当たっては、遺族(補償)年金の受給権者が失権した後に当該受給権の転給を受けた転給後の受給権者については、仮りに被災労働者の死亡に関し民事損害賠償を受けた場合であっても遺族(補償)年金の支給調整は行わないこととされている。
(引用:労災コンメンタール附則64条)
 遺族(補償)年金の場合には、先順位の受給権者が失権すれば、年金の受給権は後順位の受給資裕者に引き継がれる(転給といわれる。)こととなっている。このただし書は、このような転給のケースでは、転給権者については、支給調整が行われないことを意味しているものである。前に挙げた例によれば、妻と子が半分ずつ損害賠償を受けた後妻が再婚したため遺族補償年金の受給権を失い、次順位者たる子が遺族補償年金の転給を受ける場合には、妻の遺族補償年金は支給調整されるが、転給後の子の遺族補償年金は支給調整されないこととなる。確かに、転給権者についても、論理的には転給権者自身が受けた損害賠償の限度で年金の支給調整を行うことも一つの方法として考えられるが、支給調整基準では、転給時点が予測しがたいこと等事務処理の観点その他の事情を勘案して先順位者についてのみ調整を行うこととされているものである。

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rsh0802E 被災労働者の遺族である妻と子が、遺族補償年金の支給事由と同一の事由について、事業主から損害賠償を半分ずつ受けた後、妻が再婚したため遺族補償年金の受給権を失い、次順位者たる子が遺族補償年金の転給を受ける場合には、妻の遺族補償年金及び転給後の子の遺族補償年金のいずれについても民事損害賠償に係る遺族補償年金の支給調整が行われる。×rsh0507C 事業主から民事損害賠償が行われた際の保険給付の支給調整において、遺族補償年金の受給権者のうち先順位の受給権者が失権した後の後順位の受給権者については、支給調整が行われることはない。○

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