労働基準法の全論点集(9)

 

労働時間・休憩・休日(1)

労働時間・休憩・休日の適用除外

適用除外者(法41条該当者)

農業又は水産・畜産業の事業に従事する者

  • [0355] 「農業又は畜産・水産業に従事する者」は、法第4章(労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇)、法第6章(年少者)及び法第6章の2(妊産婦等)で定める労働時間休憩及び休日に関する規定は、適用されない。(法41条1号)

監督又は管理の地位にある者

  • [0356] 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」は、法第4章(労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇)、法第6章(年少者)及び法第6章の2(妊産婦等)で定める労働時間休憩及び休日に関する規定は、適用されない。(法41条2号)

機密の事務を取り扱う者 

  • [0357] 事業の種類にかかわらず機密の事務を取り扱う者」は、法第4章(労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇)、法第6章(年少者)及び法第6章の2(妊産婦等)で定める労働時間休憩及び休日に関する規定は、適用されない。(法41条2号)

監視又は断続的労働に従事する者

  • [0358] 「監視又は断続的労働に従事する者」で、使用者所轄労働基準監督署長許可を受けたものは、法第4章(労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇)、法第6章(年少者)及び法第6章の2(妊産婦等)で定める労働時間休憩及び休日に関する規定は、適用されない。(法41条3号、則34条)

宿日直勤務

  • [0359] 「断続的労働」の一態様として「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」があり、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、その宿直又は日直の勤務については、法第4章、法第6章及び法第6章の2で定める労働時間休日及び休憩に関する規定は適用されない。(昭和23年1月13日基発33号)
  • [0360] 宿直又は日直の勤務で断続的な業務としての許可は、常態としてほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるものであり、定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可することとされている。(昭和63年3月14日基発150号)
  • [0361] 労働基準監督署長の許可を受けて行っている宿直勤務時間中に、特別の必要が生じたため当該宿直勤務者に通常の業務を行わせたときは、宿直手当のほかに、その通常の業務を行わせた時間に対しては、労働基準法上の時間外労働として所定の割増賃金を支払わなければならない。(昭和63年3月14日基発150号)
  • [0362] 宿直又は日直の勤務で断続的な業務について許可を受けようとする場合には、宿直又は日直勤務1回についての宿直手当又は日直手当の最低額は、原則として、当該事業場において宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている「同種の労働者に対して支払われている賃金(労働基準法第37条の割増賃金の基礎となる賃金に限る)の1人1日平均額3分の1」を下回らないものでなければならない。(昭和63年3月14日基発150号)

医療法による医師等の宿直業務

  • [0363] 医療法により義務づけられている「医師看護師等」の宿直業務については、一般の宿直の場合と同様にそれが昼間の通常の労働の継続延長である場合には宿直として許可されない。すなわち、医師、看護師等の宿直勤務については、①通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること、②夜間に従事する業務は、一般の宿直業務以外には、病室の定時巡回、異常患者の医師への報告あるいは少数の要注意患者の定時検脈、検温等特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務に限ること、③夜間に充分睡眠がとりうること、④前記以外に一般の宿直の許可の際の条件を充たしていることのすべてを充たす場合に、則23条の所轄労働基準監督署長の許可が与えられる。(平成11年3月31日基発168号)

適用除外の範囲

年次有給休暇

  • [0364] 法41条により労働時間等の適用除外を受ける者であっても、「年次有給休暇」に関する規定の適用を受ける。(平成11年3月31日基発168号)

深夜業

  • [0365] 法41条により労働時間等の適用除外を受ける者であっても、「深夜業」に関する規定の適用を受ける。(平成11年3月31日基発168号)
  • [0366] 法41条によって労働時間等の適用除外を受ける者であっても、使用者深夜業の割増賃金を支払わなければならない。ただし、労働協約就業規則その他によって深夜業の割増賃金を含めて所定賃金が定められていることが明らかな場合には別に深夜業の割増賃金を支払う必要はない。(昭和23年10月14日基発1506号)
  • [0367] 労働基準法における労働時間に関する規定の多くは、その長さに関する規制について定めており、同法37条1項は、使用者が労働時間を延長した場合においては、延長された時間の労働について所定の割増賃金を支払わなければならないことなどを規定している。他方、同条3項は、使用者が原則として午後10時から午前5時までの間において労働させた場合においては、その時間の労働について所定の割増賃金を支払わなければならない旨を規定するが、同項は、労働が1日のうちのどのような時間帯に行われるかに着目して深夜労働に関し一定の規制をする点で、労働時間に関する労働基準法中の他の規定とはその趣旨目的を異にすると解される。 また、労基法41条は、同法第4章(労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇)、第6章(年少者)及び第6章の2(妊産婦等)で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、同条各号の一に該当する労働者については適用しないとし、これに該当する労働者として、同条2号は管理監督者等を、同条1号は同法別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者を定めている。一方、同法第6章中の規定であって年少者に係る深夜業の規制について定める61条をみると、同条4項は、上記各事業については同条1項ないし3項の深夜業の規制に関する規定を適用しない旨別途規定している。こうした定めは、同法41条にいう労働時間休憩及び休日に関する規定には深夜業の規制に関する規定は含まれていないことを前提とするものと解されるとするのが最高裁の判例である。(平成21年12月18日最高裁判所第二小法廷ことぶき事件)

管理監督者性の判断基準

管理監督者性

  • [0368] 「監督若しくは管理の地位にある者」とは、一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず実態に即して判断される。一般に、企業においては、職務の内容と権限等に応じた地位(職位)と、経験、能力等に基づく格付(資格)とによって人事管埋が行われている場合があるが、管理監督者の範囲を決めるに当たっては、かかる資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容責任と権限勤務態様に着目する必要がある。(昭和63年3月14日基発150号)
  • [0369] 管理監督者であるかの判定に当たっては、賃金等の待遇面についても無視し得ないものであること。この場合、定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要があること。なお、一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといって、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではないこと。(昭和63年3月14日基発150号)

名ばかり管理職

  • [0370] 多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の具体的な判断要素は次の通りである。(平成20年9月9日基発0909001号)
1 「職務内容、責任と権限」についての判断要素
(1) 採用

  •  アルバイト・パート等の「採用」に関する責任と権限が実質的にない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
(2) 解雇

  •  アルバイト・パート等の「解雇」に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
(3) 人事考課

  •  部下の「人事考課」に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
(4) 労働時間の管理

  •  「勤務割表の作成又は所定時間外労働の命令」を行う責任と権限が実質的にない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
2  「勤務態様」についての判断要素
(1) 遅刻、早退等に関する取扱い

  •  遅刻早退等により減給の制裁人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされる場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
(2) 労働時間に関する裁量

  •  長時間労働を余儀なくされている場合のように、実際には労働時間に関する裁量がほとんどないと認められる場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。
(3) 部下の勤務態様との相違

  •  労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時間の大半を占めている場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。
3  「賃金等の待遇」についての判断要素
(1) 基本給、役職手当等の優遇措置

  •  基本給役職手当等の優遇措置が、割増賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分でなく、当該労働者の保護に欠けるおそれがあると認められるときは、管理監督者性を否定する補強要素となる。
(2) 支払われた賃金の総額

  •  1年間に支払われた賃金の総額が、特別の事情がないにもかかわらず、他店舗を含めた当該企業の一般労働者の賃金総額と同程度以下である場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。
(3) 時間単価

  •  時間単価に換算した賃金額において、店舗に所属するアルバイトパート等の賃金額に満たない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
  •  特に、当該時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない場合は、管理監督者性を否定する極めて重要な要素となる。

高度プロフェッショナル制度(特定高度専門業務・成果型労働制)

高度プロフェッショナル制度

  • [0371] 「高度プロフェッショナル制度」とは、年収要件を満たし、職務の範囲が明確で高度の専門的知識等を有する労働者を対象として、書面等の方法による労働者本人の同意や労使委員会の決議等を要件として、労働時間休憩休日深夜の割増賃金に係る規定を適用除外とする制度である。(厚生労働省資料)

対象業務

  • [0372] 高度プロフェッショナル制度の対象業務は、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務(当該業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示(業務量に比して著しく短い期限の設定その他の実質的に当該業務に従事する時間に関する指示と認められるものを含む)を受けて行うものを除く))をいう。(法41条の2第1項1号、則34条の2第3項)

対象労働者

  • [0373] 高度プロフェッショナル制度の対象労働者となるものは、次に該当する者である。(法41条の2第1項2号)
対象労働者
  1.  使用者との間の書面その他の厚生労働省令で定める方法による合意に基づき職務(業務の内容、責任の程度、職務において求められる成果その他の職務を遂行するに当たって求められる水準)が明確に定められていること。(則34条の2第4項)
  2.  労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を1年間当たりの賃金の額に換算した額基準年間平均給与額3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額(1,075万円)以上であること。(則34条の2第6項)

採用要件

  • [0374] 高度プロフェッショナル制度の採用要件は次の通りである。(法41条の2第1項、則34条の2第1項)
採用要件
  1.  事業場に労使委員会を設し、当該委員会がその委員の5分の4以上の多数による議決により所定の決議事項に関する決議をし、かつ、使用者が、厚生労働省令で定めるところにより当該決議を所轄労働基準監督署長届け出なければならない
  2.  書面等の方法により対象労働者の同意を得ること。
  3.  長時間労働防止措置を実施すること。

長時間労働防止措置

  • [0375] 使用者が「長時間労働防止措置」を講じない場合は、高度プロフェッショナル制度の下で労働者を使用することはできない
長時間労働防止措置
  1.  健康管理時間の把握措置(法41条の2第1項3号)
  2.  休日確保措置(法41条の2第1項4号)
  3.  選択的措置(法41条の2第1項5号)
  4.  健康福祉確保措置(法41条の2第1項6号)
  • [0376] 「健康管理時間の把握措置」とは、次の通りである。(則34条の2第8項)
健康管理時間の把握措置
  •  健康管理時間を把握する措置(タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法に限る)を使用者が講ずること。
  • [0377] 「休日確保措置」とは、次の通りである。(法41条の2第1項4号)
休日確保措置
  •  1年間を通じ104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上休日を使用者が与えること。 
  • [0378] 「選択的措置」とは、次の通りである。(法41条の2第1項5号)
選択的措置
  •  対象業務に従事する対象労働者に対し、次のいずれかに該当する措置を講ずること
    1.  労働者ごとに始業から24時間を経過するまでに11時間以上の継続した休息時間を確保し、かつ深夜業をさせる回数を1箇月について4回以内とすること(則34条の2第9項・第10項)
    2.  1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、1箇月について100時間を超えない範囲内とすること又は3箇月について240時間を超えない範囲内とすること(則34条の2第11項)
    3.  1年に1回以上の継続した2週間(労働者が請求した場合においては、1年に2回以上の継続した1週間)について、休日を与えること
    4.  1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間が1箇月当たり80時間を超えた労働者等に臨時健康診断(厚生労働省令で定める項目を含むものに限る)を実施すること(則34条の2第12項)
  • [0379] 「健康福祉確保措置」とは、次の通りである。(法41条の2第1項6号)
健康・福祉確保措置
  •  対象業務に従事する対象労働者の健康管理時間の状況に応じた当該対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置であって、当該対象労働者に対する有給休暇(法39条の規定による年次有給休暇を除く)の付与健康診断の実施その他の厚生労働省令で定める措置のうち当該決議で定めるものを使用者が講ずること。

報告

  • [0380] 労使委員会の決議の届出をした使用者は、当該決議が行われた日から起算して6箇月以内ごとに、所定の措置の実施状況所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。(法41条の2第2項、則34条の2の2第1項)

労使協定

労使協定

労使協定

  • [0381] 「労使協定」とは、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合労働者の過半数で組織する労働組合がないとき労働者の過半数を代表する者との「書面による協定」をいう。(法18条、法36条他)

労使協定の締結当事者

  • [0382] 労使協定の当事者は、過半数労働組合があるときは、当該「労働組合」、過半数労働組合がないときには、「過半数代表者」である。(法18条、法36条他)

事業場

  • [0383] 「事業場」とは、労働基準法の適用事業として決定される単位であり、したがって数事業場を擁する企業にあっても、労使協定はそれぞれの事業場ごとに締結されなければならない。しかしながら、協定の締結単位と協定当事者を誰にするかとは別個の問題であり、上記のような企業において、各事業場の長ではなく、社長自らが協定を締結し、あるいは各事業場ごとにみてその事業場の労働者の過半数で組織されている労働組合につき、支部の長ではなく本部の長労使協定を締結することも可能であると解される。(昭和24年2月9日基収4234号、昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号、コンメンタール36条)

労働者の過半数で組織する労働組合

  • [0384] 労働組合との間の労使協定において、「労働者の過半数」を判断する場合の「労働者の範囲には、法41条の管理監督者病欠出張休職期間中の者など当該事業場に使用されているすべての労働者が含まれ。(平成11年3月31日基発168号)

派遣労働者の場合

  • [0385] 派遣元の使用者は、当該派遣元の事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合と協定をし、過半数で組織する労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者と協定をすることになる。この場合の労働者とは、当該派遣元の事業場のすべての労働者であり、派遣中の労働者それ以外の労働者との両者を含む。(昭和61年6月6日基発333号)

過半数代表者

  • [0386] 過半数代表者は、次のいずれの要件も満たす者でなければならない。(則6条の2)
過半数代表者の要件
  1.  法41条2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
  2.  労使協定の締結当事者を選出することを明らかにして実施される投票挙手等の方法による手続により選出された者であって、使用者の意向によって選出された者ではないこと。
  • [0387] 労働者の過半数で組織する労働組合がない事業場における過半数代表者の選出方法については、その者が労働者の過半数を代表して労使協定を締結することの適否について判断する機会当該事業場の労働者に与えられていなければならないとするのが最高裁判所の判例である。(平成13年6月22日最高裁判所第二小法廷トーコロ事件)
  • [0388] 36協定を締結した労働者側の当事者が労働者の過半数を代表する者ではなかった場合は、当該協定は有効とは認められず、労働者は使用者の当該協定を前提とする時間外労働命令に従う義務を負わないとするのが最高裁判所の判例である。(平成13年6月22日最高裁判所第二小法廷トーコロ事件)

不利益な取扱いの禁止

  • [0389] 使用者は、労働者過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたこと理由として、解雇、賃金の減額、降格等労働条件について不利益な取扱いをしないようにしなければならない。(則6条の2第3項、平成11年11月29日基発45号)

法定の要件を満たさなくなった場合

  • [0390] 労使協定締結後、過半数労働組合でなくなった場合又は過半数代表者でなくなった場合であっても、「協定締結当時」において要件を満たしていれば従前に締結した労使協定は効力を失わない。すなわち、締結時の要件は、協定の成立要件であるにとどまり、協定の存続要件ではない。(コンメンタール36条)

免罰効果

  • [0391] 労使協定の効力は、その協定の定めるところによって労働させても労働基準法に違反しないという「免罰効果」である。(昭和63年1月1日基発1号)
  • [0392] 労働者民事上の義務は、労使協定から直接生じるものではなく労働協約就業規則等の根拠が必要となる。(昭和63年1月1日基発1号)

年次有給休暇の計画的付与に係る労使協定

  • [0393] 「年次有給休暇の計画的付与に係る労使協定は、免罰的効力を有すると同時に、当該協定により付与された年次有給休暇について労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権の行使ができないという民事的効力を有するため、個々の労働者の時季指定権の行使を制約するために、労働協約や就業規則等の根拠は必要とされない。(平成22年5月18日基発0518第1号)

効力が及ぶ範囲

  • [0394] 労使協定の効は、締結当事者の過半数労働組合の組合員でない他の労働者労使協定に反対している者にも及ぶ。(昭和23年4月5日基発535号)

労使協定の届出等

  • [0395] 労使協定についてまとめると、次の通りである。

労働基準法による労使協定届出有効期間の定め
1. 任意貯蓄◯※A 
2. 賃金の一部控除  
3. 1箇月単位の変形労働時間制
4. フレックスタイム制清算期間1箇月以内  
5. フレックスタイム制清算期間1箇月超◯※B
6. 1年単位の変形労働時間制
7. 1週間単位の非定型的変形労働時間制 
8. 休憩の一斉付与の例外  
9. 時間外・休日労働
10. 代替休暇  
11. 事業場外労働のみなし労働時間制◯※C
12. 専門業務型裁量労働のみなし労働時間制
13. 年次有給休暇の時間単位付与  
14. 年次有給休暇の計画的付与  
15. 年次有給休暇中の賃金(標準報酬日額)  

 

※A…1.の「任意貯蓄」に係る労使協定には、罰則の規定が設けられていないため、届出による免罰効果はありません
※B…4.及び5.の「フレックスタイム制」に係る労使協定は、清算期間1箇月以内の場合は、届出不要です
※C…11.の「事業場外労働のみなし労働時間制」に係る労使協定は、締結そのものは任意ですが、労使協定を締結し、その労使協定で定める時間が法定労働時間を超える場合は、届出が必要となります
  • [0396] 届出義務罰則あり)が課せられていて、届出をしなくても免罰効果が発生する労使協定は次の通りである。
届出が必要(罰則あり)な労使協定 ※36協定を除く
  •  1箇月単位の変形労働時間制(法32条の2第2項)
  •  フレックスタイム制清算期間1箇月超)(法32条の3第4項)
  •  1年単位の変形労働時間制(法32条の4第4項)
  •  1週間単位の非定型的変形労働時間制(法32条の5第3項)
  •  事業場外労働のみなし労働時間制(法38条の2第3項)
  •  専門業務型裁量労働制(法38条の3第2項)
  • [0397] 「時間外及び休日労働に係る労使協定36協定)」は、届出をしないと労使協定に係る免罰効果そのものが発生しない。(コンメンタール36条)
  • [0398] 届出義務がない労使協定は次の通りである。 
届出が不要な労使協定
  •  賃金の一部控除(法24条1項)
  •  フレックスタイム制清算期間1箇月以内)(法32条の3第4項ただし書)
  •  休憩の一斉付与の例外(法34条2項)
  •  代替休暇(法37条3項)
  •  年次有給休暇の時間単位付与(法39条4項)
  •  年次有給休暇の計画的付与(法39条6項)
  •  年次有給休暇中の賃金標準報酬日額)(法39条9項)

有効期間の定め

  • [0399] 労働組合との間に締結され、労働協約となっている場合を除き有効期間の定めが必要な労使協定は次の通りである。
有効期間の定めが必要な労使協定
  •  1箇月単位の変形労働時間制(法32条の2第1項、則12条の2の2第1項)
  •  フレックスタイム制清算期間1箇月超)(法32条の3第1項4号、則12条の3第1項4号)
  •  1年単位の変形労働時間制(法32条の4第1項5号、則12条の4第1項)
  •  時間外及び休日労働に係る労使協定36協定)(法36条2項5号、則17条1項1号)
  •  事業場外労働のみなし労働時間制(法38条の2第2項、則24条の2第2項)
  •  専門業務型裁量労働制(法38条の3第1項6号、則24条の2の2第3項1号)

労使委員会(労働時間等設定改善委員会、労働時間等設定改善企業委員会)の決議の特例

  • [0400] 「労使委員会」又は「労働時間等設定改善委員会」が設置されている場合、当該委員会の委員の5分の4以上の多数による議決による決議が行われたときは、原則として、この決議は、次に掲げる労使協定と同様の効果を有する(原則として、届出要件も免除される)。(法38条の4第5項、法41条の2第3項、労働時間等設定改善法7条、平成22年5月18日基発0518第1号)
労使委員会又は労働時間等設定改善委員会による適用の特例を受ける労使協定
  1.  1箇月単位の変形労働時間制
  2.  フレックスタイ
  3.  1年単位の変形労働時間制
  4.  1週間単位の非定型的変形労働時間制
  5.  休憩の一斉付与の例外
  6.  時間外及び休日の労働届出は必要
  7.  代替休暇
  8.  事業場外労働又は専門業務型裁量労働のみなし労働時間制
  9.  年次有給休暇の時間単位付与
  10.  年次有給休暇の計画的付与
  11.  年次有給休暇中の賃金労働時間等設定改善委員会の決議の場合は除く
  • [0401] 「労働時間等設定改善企業委員会」が設置されている場合、当該委員会の委員の5分の4以上の多数による議決による決議が行われたときは、原則として、この決議は、次に掲げる労使協定と同様の効果を有する。(労働時間等設定改善法7条の2)
労働時間等設定改善企業委員会による適用の特例を受ける労使協定
  1.  代替休暇
  2.  年次有給休暇の時間単位付与
  3.  年次有給休暇の計画的付与

 

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