社労士過去問50年にこだわる意味

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その人は、勉強が嫌いではありませんでした。

コツコツやって数字が伸びることはむしろ好きでした。

勉強のたぐいは継続すれば多少のブレはあるけれども

右肩上がりであがることを知っていたからです。

 

その人が、ある日、社労士という存在を知りました。

 

「過去問をマスターすれば合格できる」

今となっては、誰が言ったかわかりませんが、

その言葉を信じ、ひたすらに過去問を繰り返しました。

何回も何回も。そう、20回は繰り返しました。

 

当時まだ珍しかった条文別問題集に、

見開き2ページを消化するたびに余白に日付印を押していきました。

試験直前、余白は日付印で埋まり、その人は合格を確信していました。

 

ところが、試験当日開始そうそうにその人は自分の勉強は間違っていたことに気がつきました。

選択式一問目、労働基準法。

その年、労働基準法は大変難しく、2点までは確信を持てるものの、もう1点がわかりません。

今のようにダブルマークなどという手法があったわけではありません。

 

高校時代からの持病、偏頭痛の前兆を感じはじめました。

何度か深呼吸を行い、心を落ち着かせるために、問題冊子をひっくり返し、

最後の科目、国民年金法を解答しようとしました。

 

 

その直後、その人は、ドラマや漫画でよく見かける、

目の前が真っ暗になるシーンを現実に経験することになりました。

 

その年は、結果的に「国年ショック」と言われるほど国民年金法が難しかったからです。

 

自分の頭をどんなに振り絞っても、どんなに考えても1点しかとれそうもありません。

目の前の風景がゆがみ、視野は狭まり、頭はズキズキと痛み出し、偏頭痛が起き始めました。

 

その人は試験開始わずか5分で、自分には社労士になる資格がないことを悟りました。

それでも5分で退出するわけにもいかないため、他の科目に手をつけ始めました。

他の科目は順調でした。なにも問題なく解答は終わりました。

 

労働基準法と国民年金法。最後まで残ったのは結局この2科目。

 

労働基準法は、それでも2点は正答を確信していたため、あいまいな3問のうち、

1問はまぐれで当たるだろうと思っていたので気は楽でした。

 

講師をやっていて、受講生からよく聞く言葉、

「試験会場で答えが間違っていたことに気がついたんです。それで最後の最後でひっくり返したんです。

ですが、そのひらめきが間違いだったんです。あそこでひっくり返すことさえなければ……」

 

――――――――

 

その年、択一は60点。選択は、国民年金法を直前で答えを変更したため、3点が1点となり、

1点足りずに(救済が入り、2点で合格だった)不合格でした。

 

試験が終わり、自己採点が終わり、「救済が入っても1点はないな」と思いました。

起きているとつらいため、ひたすら寝て暮らしていました。

その年の後半は全くやる気が起きず、翌年になっても勉強を再開する気にはなりませんでした。

「1点で不合格にされたということは、きっと自分には適性がないから諦めろ」

という神からのメッセージのようにも感じました。

 

その後偶然通りかかったある大手予備校の前で、社労士のポスターを見かけました。

「今は雇用保険くらいを授業しているのかな」

ふらっと冷やかしでそのビルを覗いていたところ、職員さんが見学をすすめてくれました。

そのとき、どんな心境の変化があったか今となってはわかりません。

ですが、心のどこかで小さく火が灯ったのかもしれません。

懐かしく思ったのかもしれません。

 

その人は、直前まで再受験など考えてもいなかったのに、唐突に受講を決めました。

 

再受講後は、同じ過ちを繰り返さないことだけに重点を置くことにしました。

すなわち、総得点を上げるのではなく、1点を大切にする勉強。

 

過去問を「解く」ことで満足しない。

過去問で問われている「論点」をしっかり意識する。

本試験では過去問で出題されないことも出題される。

択一対策だけでは合格できない。

 

たくさん反省点を洗い出し、今年は総得点をあげる学習は

やめようと心に刻みました。

 

その予備校では問題演習重視で答練がたくさん行われましたが、

点数は一切無視しました。

 

その代わり、テキストを何回も何回も読みました。

その年は、与えられた過去問集はほぼ新品同然でしたが、

テキストはマークでボロボロでした。

 

次の受験では択一は49点。前年より10点以上点数は落ちることになりました。

その代わり、選択は合格ラインを超え、合格をすることができました。

 

――――――――

 

あれから、年は経ち、過去問を50年分分析することになりました。

そして、過去問は「論点の塊」であり、テキストを漠然と何回も読むよりも

過去問を解きながら、論点を確認することがやはり効率的であることに気がつきました。

 

 

「『テキストを読みなさい』と先生が言うので、私も読んでいます。

ですが、先生、読んでいると、眠くなります。どうにかなりませんか。」

 

ある日受講生から受けた相談です。

 

そのとき、わたしは「立ちながら読むと眠くなりませんよ。」といった

トンチンカンなアドバイスをしたことを覚えています。

 

うつで悩んでいる人が「眠れないんです。食欲がありません。」とカウンセリングに来ているのに、

「水泳がいいですよ。適度に疲れ、お腹もすきます。ぐっすりねむれますよ。」といったアドバイスを

するかのごとく。

 

悩んでいるのは、「眠いこと」ではなく、

「テキストを漠然と読んでも、だらだらとただ読むだけで、身になっていない気がする。

もっと効果のある勉強法はないんでしょうか」なのに。

 

後に、カウンセリングの資格を勉強することとなり、そのことに気がつきました。

それで、どうやったらテキストを効果的に読めるようになるかを考えました。

 

 

その結果がこのサイトとなります。過去問50年で問われた論点をすべて洗い出し、

その代表問を出題し、これをきっかけにテキストを確認してもらう。

これにより結果的にテキストを隅からすみまで読み込むこととなる。

★印で出題頻度を表し、強弱をつける。これにより些末な論点に拘泥することもなくなる。

私なりに考えた「最強のツール」がこのサイトとなります。

 

だから、サイキョウ社労士

 

皆さんが考えている以上に情報量が多いため、解説も大雑把ですが、まずは全科目をアップすることを

目標に裏で毎日ページを作成しています。

 

「自分が受験生だったときに存在すれば絶対に使用していたツール」を目標に作成をします。

「仮想の自分」のためのモノなので、手を抜くつもりはありません。

何回かはバージョンアップを繰り返す予定です。しばらくはあたたかく見守っていただければ幸いです。

 



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