安田病院事件
平成10年9月8日最高裁判所第三小法廷
ストーリー
付添婦Xは、患者と付添契約し病院内で身の回りの世話をする、報酬は患者から受け取る(病院との間に契約関係はない)という建前でY病院で働いていた。
しかし、現実には、Y病院の面接を受けて採用され、病院の指示に従って患者の世話、清掃等をし、病院から報酬が支払われていた。患者が死亡すると、Y病院は担当の看護婦や付添婦を責め、付添婦については、付添料の2日分を控除したうえ、香典と供物を持ってお悔みに行かせ、神社に参拝するよう指示していた。Xは、Y病院と労働契約関係があると主張し、訴えを提起した。
付添婦Xは、患者と付添契約し病院内で身の回りの世話をする、報酬は患者から受け取る(病院との間に契約関係はない)という建前でY病院で働いていた。
しかし、現実には、Y病院の面接を受けて採用され、病院の指示に従って患者の世話、清掃等をし、病院から報酬が支払われていた。患者が死亡すると、Y病院は担当の看護婦や付添婦を責め、付添婦については、付添料の2日分を控除したうえ、香典と供物を持ってお悔みに行かせ、神社に参拝するよう指示していた。Xは、Y病院と労働契約関係があると主張し、訴えを提起した。

付添婦は、付添婦紹介所で患者個人と
契約をしています。病院は無関係です。

私は病院の事務局に採用されたんです。
結 論 (付添婦X勝訴)
病院付添婦と病院との雇用関係の存在を認め、その雇用関係の断絶は病院の著しく合理性を欠く解雇によるものである。
病院付添婦と病院との雇用関係の存在を認め、その雇用関係の断絶は病院の著しく合理性を欠く解雇によるものである。
労働契約は、明示された契約の形式にのみに拘束されるのか。
使用者と労働者との間に個別的な労働契約が存在するというためには、両者の意思の合致が必要であるとしても、労働契約の本質を使用者が労働者を指揮命令し、監督することにあると解する以上、明示された契約の形式のみによることなく、当該労務供給形態の具体的実態を把握して、両者間に事実上の使用従属関係があるかどうか、この使用従属関係から両者間に客観的に推認される黙示の意思の合致があるかどうかにより決まるものと解するのが相当である。
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使用者と労働者との間に個別的な労働契約が存在するというためには、両者の意思の合致が必要であるとしても、労働契約の本質を使用者が労働者を指揮命令し、監督することにあると解する以上、明示された契約の形式のみによることなく、当該労務供給形態の具体的実態を把握して、両者間に事実上の使用従属関係があるかどうか、この使用従属関係から両者間に客観的に推認される黙示の意思の合致があるかどうかにより決まるものと解するのが相当である。