健康保険任意継続被保険者資格取得の承認に対する審査棄却決定取消請求事件
昭和36年2月24日最高裁判所第二小法廷
ストーリー
労働者Xは、病気のために労働をすることができなくなったとして、自ら退職をした。しかし、健康保険法に規定する期間内(当時10日以内)に任意継続被保険者資格取得の申請をしていなかった。
労働者Xは、普通一般の人はこのような規定を知らず、専門家のみ知っているものであるとして、任意継続被保険者の資格取得を認めるよう訴えを提起した。
労働者Xは、病気のために労働をすることができなくなったとして、自ら退職をした。しかし、健康保険法に規定する期間内(当時10日以内)に任意継続被保険者資格取得の申請をしていなかった。
労働者Xは、普通一般の人はこのような規定を知らず、専門家のみ知っているものであるとして、任意継続被保険者の資格取得を認めるよう訴えを提起した。
期間内に手続きを行っていないのですから、
任意継続被保険者にはなれません。
専門家ではないのだから、健康保険法の
詳しいルールなんて知りません。
結 論 (労働者X敗訴)
健康保険法の規定を知らなかったということだけでは、期間経過後に資格継続の申請をするにつき正当な事由があるとは認められない。
健康保険法の規定を知らなかったということだけでは、期間経過後に資格継続の申請をするにつき正当な事由があるとは認められない。
任意継続被保険者の資格取得の申出が遅れた理由として、「健康保険法を知らなかったため」は認められるか。
原判決は、上告人が現実にいわゆる逆選択を行つたとの事実を認定したものではなく、健康保険法37条1項がいわゆる任意継続被保険者資格取得の申請期間を20日に限定したのは、いわゆる逆選択を防止せんとする趣旨から出たものであるから、単に法律を知らなかつたというだけでは、同項の正当の事由があると認められる場合に当らないものと解すべきである、との趣旨を判示したものであつて、右判断は正当である。
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原判決は、上告人が現実にいわゆる逆選択を行つたとの事実を認定したものではなく、健康保険法37条1項がいわゆる任意継続被保険者資格取得の申請期間を20日に限定したのは、いわゆる逆選択を防止せんとする趣旨から出たものであるから、単に法律を知らなかつたというだけでは、同項の正当の事由があると認められる場合に当らないものと解すべきである、との趣旨を判示したものであつて、右判断は正当である。
【逆選択】
契約者が保険事故の発生する確率が高いことを知りながら、保険を契約しようとすること。
契約者が保険事故の発生する確率が高いことを知りながら、保険を契約しようとすること。
任意継続被保険者の申請期間を長期とすると、多くの人は申請をせず、保険事故(疾病、負傷等)が発生してはじめて申請をします。これを「逆選択」といいます。
過去問
kp2501B任意継続被保険者の資格取得の申出は、被保険者の資格を喪失した日から20日以内にしなければならないが、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても受理することができる。なお、判例によると「法律の不知」によるという主張は、この場合の正当な理由にあたらないものと解されている。
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○