羽幌炭坑事件

羽幌炭坑事件

昭和33年5月28日最高裁判所大法廷
ストーリー
 炭鉱鉄道業Y社の労働組合は、Y社に対し労働協約の改訂等を要求して労働争議を行った。交渉が長期化するにつれ、組合から脱退する者も出始め、脱退者は従業員会を組織した。
 これに対し、Y社では従来から会社の業務に従事していた下請け労働者を従業員に採⽤し、これらの者と職員ならびに従業員会の者で採炭を続⾏、ストライキ決⾏派はこれを阻⽌しようと抗争を続けて来た。
 労働組合員のXらは、ストライキ決⾏派の者と共にピケライン(見張人を置いて、ストライキ参加への要請、ストライキ破りへの防衛等を行うこと)を張って出炭業務を妨害しようとし、3⽇間連続で、100余名の者と共に電⾞軌道上やその付近に座り込んだ。
 労働者Xらの行為は、威⼒業務妨害(刑法234条)等にあたるとして起訴され、⼀審、⼆審とも有罪判決を下したが、これを不服とした労働者Xらは上告を行った。
 

あなた方の行動は、労働争議の

範囲を超えています。

われわれの争議行為は、正当であり、

刑罰は科されない。刑事免責だ。

 
 結 論  労働者Xら敗訴
 使⽤者側が同盟罷業への対抗⼿段の⼀種として⾃らなさんとする業務の遂⾏⾏為に対し暴⾏脅迫をもってこれを妨害するがごとき⾏為はもちろん、不法に、使⽤者側の⾃由意思を抑圧し、あるいは、その財産に対する⽀配を阻⽌するような⾏為をすることは許されない。
 

争議行為はどこまで許されるか。

 同盟罷業は必然的に業務の正常な運営を阻害するものではあるが、その本質は労働者が労働契約上負担する労務供給義務の不履⾏にあり、その⼿段⽅法は労働者が団結してその持つ労働⼒を使⽤者に利⽤させないことにあるのであって、これに対し使⽤者側がその対抗⼿段の⼀種として⾃らなさんとする業務の遂⾏⾏為に対し暴⾏脅迫をもってこれを妨害するがごとき⾏為はもちろん、不法に、使⽤者側の⾃由意思を抑圧し或はその財産に対する⽀配を阻⽌するような⾏為をすることは許されないものといわなければならない。
 されば労働争議に際し、使⽤者側の遂⾏しようとする業務⾏為を阻⽌するため執られた労働者側の威⼒⾏使の⼿段が、諸般の事情からみて正当な範囲を逸脱したものと認められる場合には刑法上の威⼒による業務妨害罪の成⽴を妨げるものではない。
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 同盟罷業は必然的に業務の正常な運営を阻害するものではあるが、その本質は労働者が労働契約上負担する労務供給義務の不履⾏にあり、その⼿段⽅法は労働者が団結してその持つ労働⼒を使⽤者に利⽤させないことにあるのであって、これに対し使⽤者側がその対抗⼿段の⼀種として⾃らなさんとする業務の遂⾏⾏為に対し暴⾏脅迫をもってこれを妨害するがごとき⾏為はもちろん、不法に、使⽤者側の⾃由意思を抑圧し或はその財産に対する⽀配を阻⽌するような⾏為をすることは許されないものといわなければならない。
 されば労働争議に際し、使⽤者側の遂⾏しようとする業務⾏為を阻⽌するため執られた労働者側の威⼒⾏使の⼿段が、諸般の事情からみて正当な範囲を逸脱したものと認められる場合には刑法上の威⼒による業務妨害罪の成⽴を妨げるものではない。

 

 

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