根岸病院事件
平成20年3月27日最高裁判所第一小法廷
ストーリー
X労組は、地方労働委員会(地労委)に対し、Y病院が事前に協議することなく新規採用者の初任給を引き下げたこと、初任給引下げに関するY病院の団体交渉における態度が不誠実であったこと、が不当労働行為に当たるとして、不当労働行為救済申立てを行った。
地労委は、申立てについて、Y病院に対し、①初任給引下げについての団体交渉に誠実に応じること、②新規採用された組合員の初任給額を是正すること、③謝罪文の掲示をすることを命じた。
Y病院は、中央労働委員会(中労委)に対し、この命令の取消しを求めて、再審査を申し立てたところ、中労委は、②について取消し、その他の再審査申立てを棄却した。 Y病院及びX労組は、それぞれこれを不服として、訴えを提起した。
X労組は、地方労働委員会(地労委)に対し、Y病院が事前に協議することなく新規採用者の初任給を引き下げたこと、初任給引下げに関するY病院の団体交渉における態度が不誠実であったこと、が不当労働行為に当たるとして、不当労働行為救済申立てを行った。
地労委は、申立てについて、Y病院に対し、①初任給引下げについての団体交渉に誠実に応じること、②新規採用された組合員の初任給額を是正すること、③謝罪文の掲示をすることを命じた。
Y病院は、中央労働委員会(中労委)に対し、この命令の取消しを求めて、再審査を申し立てたところ、中労委は、②について取消し、その他の再審査申立てを棄却した。 Y病院及びX労組は、それぞれこれを不服として、訴えを提起した。
労働者になっていない非組合員の労働条件を
なぜ団体交渉しなくてはならないんだ。
労働条件である初任給を引き下げるのだから、
義務的団体交渉事項に該当します。
結 論 (労働組合X勝訴)
「義務的団交事項」とは、団体交渉を申し入れた労働者の団体の構成員たる労働者の労働条件その他の待遇、当該団体と使用者との間の団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なものと解するのが相当である。たとえ、非組合員についての労働条件であっても、将来にわたり組合員の労働条件等に影響を及ぼす可能性のあるものは、義務的団交事項となりうる。
「義務的団交事項」とは、団体交渉を申し入れた労働者の団体の構成員たる労働者の労働条件その他の待遇、当該団体と使用者との間の団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なものと解するのが相当である。たとえ、非組合員についての労働条件であっても、将来にわたり組合員の労働条件等に影響を及ぼす可能性のあるものは、義務的団交事項となりうる。
義務的団体交渉事項の範囲はどこまでか。
団交事項の範囲について
労働組合法7条2号は、使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなく拒むことを不当労働行為として禁止しているところ、これは使用者に労働者の団体の代表者との交渉を義務付けることにより、労働条件等に関する問題について労働者の団結力を背景とした交渉力を強化し、労使対等の立場で行う自主的交渉による解決を促進し、もって労働者の団体交渉権(憲法28条)を実質的に保障しようするものである。このような労働組合法7条2号の趣旨に照らすと、誠実な団体交渉が義務付けられる対象、すなわち義務的団交事項とは、団体交渉を申し入れた労働者の団体の構成員たる労働者の労働条件その他の待遇、当該団体と使用者との間の団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なものと解するのが相当である。
そして、非組合員である労働者の労働条件に関する問題は、当然には上記団交事項にあたるものではないが、それが将来にわたり組合員の労働条件、権利等に影響を及ぼす可能性が大きく、組合員の労働条件との関わりが強い事項については、これを団交事項に該当しないとするのでは、組合の団体交渉力を否定する結果となるから、これも上記団交事項にあたると解すべきである。
労働組合法7条2号は、使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなく拒むことを不当労働行為として禁止しているところ、これは使用者に労働者の団体の代表者との交渉を義務付けることにより、労働条件等に関する問題について労働者の団結力を背景とした交渉力を強化し、労使対等の立場で行う自主的交渉による解決を促進し、もって労働者の団体交渉権(憲法28条)を実質的に保障しようするものである。このような労働組合法7条2号の趣旨に照らすと、誠実な団体交渉が義務付けられる対象、すなわち義務的団交事項とは、団体交渉を申し入れた労働者の団体の構成員たる労働者の労働条件その他の待遇、当該団体と使用者との間の団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なものと解するのが相当である。
そして、非組合員である労働者の労働条件に関する問題は、当然には上記団交事項にあたるものではないが、それが将来にわたり組合員の労働条件、権利等に影響を及ぼす可能性が大きく、組合員の労働条件との関わりが強い事項については、これを団交事項に該当しないとするのでは、組合の団体交渉力を否定する結果となるから、これも上記団交事項にあたると解すべきである。
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団交事項の範囲について
労働組合法7条2号は、使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなく拒むことを不当労働行為として禁止しているところ、これは使用者に労働者の団体の代表者との交渉を義務付けることにより、労働条件等に関する問題について労働者の団結力を背景とした交渉力を強化し、労使対等の立場で行う自主的交渉による解決を促進し、もって労働者の団体交渉権(憲法28条)を実質的に保障しようするものである。このような労働組合法7条2号の趣旨に照らすと、誠実な団体交渉が義務付けられる対象、すなわち義務的団交事項とは、団体交渉を申し入れた労働者の団体の構成員たる労働者の労働条件その他の待遇、当該団体と使用者との間の団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なものと解するのが相当である。
そして、非組合員である労働者の労働条件に関する問題は、当然には上記団交事項にあたるものではないが、それが将来にわたり組合員の労働条件、権利等に影響を及ぼす可能性が大きく、組合員の労働条件との関わりが強い事項については、これを団交事項に該当しないとするのでは、組合の団体交渉力を否定する結果となるから、これも上記団交事項にあたると解すべきである。
労働組合法7条2号は、使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなく拒むことを不当労働行為として禁止しているところ、これは使用者に労働者の団体の代表者との交渉を義務付けることにより、労働条件等に関する問題について労働者の団結力を背景とした交渉力を強化し、労使対等の立場で行う自主的交渉による解決を促進し、もって労働者の団体交渉権(憲法28条)を実質的に保障しようするものである。このような労働組合法7条2号の趣旨に照らすと、誠実な団体交渉が義務付けられる対象、すなわち義務的団交事項とは、団体交渉を申し入れた労働者の団体の構成員たる労働者の労働条件その他の待遇、当該団体と使用者との間の団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なものと解するのが相当である。
そして、非組合員である労働者の労働条件に関する問題は、当然には上記団交事項にあたるものではないが、それが将来にわたり組合員の労働条件、権利等に影響を及ぼす可能性が大きく、組合員の労働条件との関わりが強い事項については、これを団交事項に該当しないとするのでは、組合の団体交渉力を否定する結果となるから、これも上記団交事項にあたると解すべきである。
【不当労働行為】
労働組合活動に対する使用者の妨害行為。
労働組合活動に対する使用者の妨害行為。
【義務的団交事項】
使用者が負うべき団体交渉義務の範囲の事項。
使用者が負うべき団体交渉義務の範囲の事項。
過去問
ri2502E労働組合の目的は、賃金等の労働条件を維持改善し労働者の経済的地位の向上を図ることにあるから、いわゆるセクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントなどを予防するための職場環境の整備は、いわゆる義務的団体交渉事項に含まれない。
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