労働者災害補償保険金給付請求事件

労働者災害補償保険金給付請求事件

昭和29年11月26日最高裁判所第二小法廷
ストーリー
 労働者Aは、B社事業場において土砂の運搬中に心臓麻痺を起こして死亡した。B社は、妻Xを代理して、C労基署長に対して遺族補償及び葬祭料を請求したが、「心臓麻痺による死亡は他にいかなる理由があっても業務外の死亡である」として給付は行われなかった。
 その後、妻Xは「心臓麻痺による死亡が業務上のもの」とされた新聞記事に接し、不支給決定に対する審査請求をしたところ、審査申立期間(当時60日)の経過を理由に請求は却下された。妻Xは、さらに、労災補償保険審査会に再審査請求を行ったが、この決定をまたずに国に対して直接保険金の支払いを求めて訴えを提起した。

労災保険法のしくみにのっとって

請求をして下さい。

迅速かつ公正な保護が受けられない以上、

直接政府に請求します。

 結 論  労働者Xの妻敗訴
 被災者や遺族は、行政庁の支給決定がなされて初めて保険給付を請求でき、この決定を経ずに直接政府に給付を請求することはできない。

保険事故が発生しただけで、直ちに保険給付請求権が生ずる

わけではないということです。

保険給付の決定前に、労災保険法に基づく保険金支払請求をすることはできるか。

 労働者災害補償保険法による保険給付は、同法所定の手続により行政機関が保険給付の決定をすることによつて給付の内容が具体的に定まり、受給者は、これによつて、始めて政府に対し、その保険給付を請求する具体的権利を取得するのであり、従つて、それ以前においては、具体的な、一定の保険金給付請求権を有しないとした原判決の解釈は正当であつて、独自の見解にたつてこれを非難する論旨は採用できない。
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 労働者災害補償保険法による保険給付は、同法所定の手続により行政機関が保険給付の決定をすることによつて給付の内容が具体的に定まり、受給者は、これによつて、始めて政府に対し、その保険給付を請求する具体的権利を取得するのであり、従つて、それ以前においては、具体的な、一定の保険金給付請求権を有しないとした原判決の解釈は正当であつて、独自の見解にたつてこれを非難する論旨は採用できない。
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過去問

rsh2907A労災保険法による保険給付は、同法所定の手続により行政機関が保険給付の決定をすることにより給付の内容が具体的に定まり、受給者は、それ以前においては政府に対し具体的な一定の保険給付請求権を有しないとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。
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