国・園部労基署長(労災障害等級)事件
被災労働者Xは、当時の勤務先会社の作業場で火傷(熱傷)を負った。労働者Xは、治療を受け、障害補償給付の支給請求までの間に15回の手術を受けた。労働者Xには、右頬から顎部(あご)にかけて、頸部(首)、胸部・腹部の全域、右背部、右上肢の肘関節(ひじ)以下、右下肢の膝関節(膝)以下等に瘢痕(傷などが治ったあとに残るあと)及び瘢痕拘縮(動きが悪くなること)による著しい醜状が残った。
労働者Xは、Y労基署長に対し、労災保険法15条1項の障害補償給付の支給を請求したところ、労働者Xの上肢及び下肢の醜状障害と露出面以外の醜状障害について準用第12級とし、これと外貌の著しい醜状障害(第12級の13「男性の外貌に著しい醜状を残すもの)を併合して、労働者Xは障害等級表第11級に該当すると認定する旨の処分がおりた。
労働者Xは、労働者Xが女性であれば、外貌の著しい醜状障害は、第7級の12(女性の外貌に著しい醜状を残すもの)とされることは、憲法14条1項で明示的に禁じられている性別による差別的取扱いに当たるものとして訴えを提起した。
男性の場合は、「外貌の著しい醜状」は、
12級に該当します。
女性なら7級。5級も違いがあるなんて
性別による差別になる。
「ほとんど顔面全域にわたる瘢痕で人に嫌悪の感を抱かせる程度に達しない外貌の醜状障害について、男女に差を設け、差別的取扱いをすることは、違憲である。
外貌の醜状障害に関して男女で異なる取扱いをすることは可能か。
……以上によれば、本件では、本件差別的取扱いの合憲性、すなわち、差別的取扱いの程度の合理性、厚生労働大臣の裁量権行使の合理性は、立証されていないから、……裁量権の範囲が比較的広範であることを前提としても、なお、障害等級表の本件差別的取扱いを定める部分は、合理的理由なく性別による差別的取扱いをするものとして、憲法14条1項に違反するものと判断せざるを得ない。
……以上によれば、本件では、本件差別的取扱いの合憲性、すなわち、差別的取扱いの程度の合理性、厚生労働大臣の裁量権行使の合理性は、立証されていないから、……裁量権の範囲が比較的広範であることを前提としても、なお、障害等級表の本件差別的取扱いを定める部分は、合理的理由なく性別による差別的取扱いをするものとして、憲法14条1項に違反するものと判断せざるを得ない。
⑴ 「著しい醜状を残すもの」……原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。①頭部にあっては、てのひら大(指の部分は含まない。)以上の瘢痕又は頭蓋骨のてのひら大以上の欠損、②顔面部にあっては、 rsh23D 以上の瘢痕又は rsh23E 以上の組織陥没、③頸部にあっては、てのひら大以上の瘢痕
⑵ 「 rsh23C の醜状」……原則として、顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕で、人目につく度以上のものをいう。
⑶ 「醜状」とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。①頭部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損、②顔面部にあっては、10円銅貨大以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕、③頸部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕
⑴ 「著しい醜状を残すもの」……原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。①頭部にあっては、てのひら大(指の部分は含まない。)以上の瘢痕又は頭蓋骨のてのひら大以上の欠損、②顔面部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は10円銅貨大以上の組織陥没、③頸部にあっては、てのひら大以上の瘢痕
⑵ 「相当程度の醜状」……原則として、顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕で、人目につく度以上のものをいう。
⑶ 「醜状」とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。①頭部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損、②顔面部にあっては、10円銅貨大以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕、③頸部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕
過去問
なお、「外貌」とは、頭部、顔面部、頸部のごとく、上肢及び下肢以外の日常露出する部分をいう。外貌における「著しい醜状を残すもの」とは、顔面部にあっては、rsh23D以上の瘢痕(はんこん)又はrsh23E以上の組織陥没に該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。
B 女性の等級を基本として男性の等級を引き上げる
C 相当程度の
D 鶏卵大面
E 10円銅貨大