熊本地裁八代支部公務災害事件

熊本地裁八代支部公務災害事件

昭和51年11月12日最高裁判所第二小法廷
ストーリー
 労働者Xは、仕事中に脳出血のため倒れ、翌日死亡した。死亡したXの妻は、この死亡は、労災保険法にいう「業務上の死亡した場合」にあたるとして、遺族補償給付等を請求した。
 しかし、請求が棄却されたため、遺族補償給付等を求めて、訴えを提起した。

※ 本事案は、公務員による事案であるが、労災保険法上の「業務災害」においても同様の解釈がなされるため、設定を置き換えてある。

「脳出血」による死亡は、私的原因が要因となって
発病したものです。業務災害ではありません。

業務遂行中に死亡したのだから、

「業務上」の災害です。

 結 論  労働者Xの妻敗訴
 業務内容及び業務環境が災害発生の原因となったとはいえず、「業務上の死亡」とは、認められない。

業務に起因して負傷又は疾病が生じたと認められるには、どのような条件が必要か。

 労災保険法にいう「労働者の業務上の死亡」とは、労働者が業務に基づく負傷又は疾病に起因して死亡した場合をいい、右負傷又は疾病と業務との間には rsh20A があることが必要であり、その負傷又は疾病が原因となつて死亡事故が発生した場合でなければならな、と解すべきである。これと同旨の見解のもとに、本件災害は業務に起因するものではないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、右と異なる見解に立つて原判決を非難するものであつて、採用することはできない。
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 労災保険法にいう「労働者の業務上の死亡」とは、労働者が業務に基づく負傷又は疾病に起因して死亡した場合をいい、右負傷又は疾病と業務との間には相当因果関係があることが必要であり、その負傷又は疾病が原因となつて死亡事故が発生した場合でなければならない、と解すべきである。これと同旨の見解のもとに、本件災害は業務に起因するものではないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、右と異なる見解に立つて原判決を非難するものであつて、採用することはできない。

 

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過去問

rsh2607D労働者が業務に起因して負傷又は疾病を生じた場合に該当すると認められるためには、業務と負傷又は疾病との間に相当因果関係があることが必要である。
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ss4904B平素から高血圧の労働者が、たまたま、事務室で執務中に脳いっ血で死亡した場合も、業務災害となる。
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×

 

rsh20A業務災害とは、労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡をいい、このうち疾病については、労働基準法施行規則別表第1の2に掲げられている。同表第11号の「その他業務に起因することの明らかな疾病」については、業務災害と扱われるが、このためには、業務と疾病との間に rsh20A がなければならない。
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相当因果関係

 

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