大和銀行事件
昭和57年10月7日最高裁判所第一小法廷
ストーリー
労働者Xは、Y銀行を退職した。Y銀行は毎年6月及び12月にその従業員に賞与を支給していた。Y銀行には従来から賞与はその支給日に在籍する者に対してのみ支給するという慣行が存在しており、労働組合の申入れを受け、就業規則に当該慣行を明文化させていた。
しかし、労働者Xは、賞与の支給日に先立って退職していたため、賞与は支給されなかった。そこで労働者Xは、Y銀行に対し、賞与の支払いを求めて訴えを提起した。
労働者Xは、Y銀行を退職した。Y銀行は毎年6月及び12月にその従業員に賞与を支給していた。Y銀行には従来から賞与はその支給日に在籍する者に対してのみ支給するという慣行が存在しており、労働組合の申入れを受け、就業規則に当該慣行を明文化させていた。
しかし、労働者Xは、賞与の支給日に先立って退職していたため、賞与は支給されなかった。そこで労働者Xは、Y銀行に対し、賞与の支払いを求めて訴えを提起した。
ボーナスは、支給日に在籍している人にのみ支給するルールです。
在籍していた期間の労働の対償として私にはボーナスを受け取る権利があります。
結 論 (労働者X敗訴)
Y銀行には、従来年2回の決算期の中間時点を支給日と定めてその日に在籍する者に対してのみ決算期間を対象とする賞与を支給するとの慣行があり、就業規則の改訂はこの慣行を明文化したにすぎず、その内容においても合理性を有し、賞与の支給日前に退職した者は賞与の受給権を有しない。
Y銀行には、従来年2回の決算期の中間時点を支給日と定めてその日に在籍する者に対してのみ決算期間を対象とする賞与を支給するとの慣行があり、就業規則の改訂はこの慣行を明文化したにすぎず、その内容においても合理性を有し、賞与の支給日前に退職した者は賞与の受給権を有しない。
賞与は支給日在籍者にのみ支給する旨の定めは有効か。
Y銀行においては、本件就業規則32条の改訂前から年2回の決算期の中間時点を支給日と定めて当該支給日に在籍している者に対してのみ右決算期間を対象とする賞与が支給されるという慣行が存在し、右規則32条の改訂は単にY銀行の従業員組合の要請によって右慣行を明文化したにとどまるものであって、その内容においても合理性を有するというのであり、右事実関係のもとにおいては、Xは、Y銀行を退職したのちである昭和54年6月15日及び同年12月10日を支給日とする各賞与については受給権を有しないとした原審の判断は、結局正当として是認することができる。
「賞与」は、就業規則等によって支給条件等が明確に定められている場合には、賃金とされますが、功労報奨的な性質や将来の勤務への期待・奨励という性質もあわせ持ちます。
過去問
rkh2203A賞与を支給日に在籍している者に対してのみ支給する旨のいわゆる賞与支給日在籍要件を定めた就業規則の規定は無効であり、支給日の直前に退職した労働者に賞与を支給しないことは、賃金全額払の原則を定めた労働基準法第24条第1項に違反するとするのが最高裁判所の判例である。
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