関西医科大学事件

関西医科大学事件

平成17年6月3日最高裁判所第二小法廷
ストーリー
 医科大学付属病院を開設しているY学校法人において、労働者Xは、医師国家試験に合格し、臨床研修を受けていた。この間、労働者Xは、入院患者の採血、点滴、手術等の見学診察、処置等の補助、自己研修等を行っていた。また、指導医が当直をするときは、翌朝まで病院内で待機することになっていた。病院は、労働者Xに対して奨学金(月額6万円・副直1回につき1万円)を支払っており、所得税の源泉徴収も行っていた。 その後、労働者Xは過労が原因の心筋梗塞で死亡した。
 遺族は、労働者Xは、労働基準法上の労働者であるとして、最低賃金の額までの未払賃金の支給を求めて訴えを提起した。
 

臨床研究は教育の一環です。

病院の指揮命令の下で働いていたのだから、

立派な労働者です。

 結 論  労働者X勝訴
 当該研修医は、労働基準法9条及び最低賃金法2条所定の労働者である。 

研修医は労働者に該当するか。

 研修医は、医師国家試験に合格し、医籍に登録されて、厚生大臣の免許を受けた医師であって、医療行為を業として行う資格を有しているものであるところ、医師法16 条の2第1項は、医師は、免許を受けた後も、2年以上大学の医学部若しくは大学附置の研究所の附属施設である病院又は厚生大臣の指定する病院において、臨床研修を行うように努めるものとすると定めている。この臨床研修は、医師の資質の向上を図ることを目的とするものであり、教育的な側面を有しているが、そのプログラムに従い、臨床研修指導医の指導の下に、研修医が医療行為等に従事することを予定しているそして、研修医がこのようにして医療行為等に従事する場合には、これらの行為等は病院の開設者のための労務の遂行という側面を不可避的に有することとなるのであり、病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができる限り、上記研修医は労働基準法9条所定の労働者に当たるものというべきである
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 研修医は、医師国家試験に合格し、医籍に登録されて、厚生大臣の免許を受けた医師であって、医療行為を業として行う資格を有しているものであるところ、医師法16 条の2第1項は、医師は、免許を受けた後も、2年以上大学の医学部若しくは大学附置の研究所の附属施設である病院又は厚生大臣の指定する病院において、臨床研修を行うように努めるものとすると定めている。この臨床研修は、医師の資質の向上を図ることを目的とするものであり、教育的な側面を有しているが、そのプログラムに従い、臨床研修指導医の指導の下に、研修医が医療行為等に従事することを予定している。そして、研修医がこのようにして医療行為等に従事する場合には、これらの行為等は病院の開設者のための労務の遂行という側面を不可避的に有することとなるのであり、病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができる限り、上記研修医は労働基準法9条所定の労働者に当たるものというべきである。

過去問

rkh2905オ医科大学附属病院に勤務する研修医が、医師の資質の向上を図ることを目的とする臨床研修のプログラムに従い、臨床研修指導医の指導の下に医療行為等に従事することは、教育的な側面を強く有するものであるため、研修医は労働基準法第9条所定の労働者に当たることはないとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。
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