労災保険法(第2章-業務災害及び通勤災害)rsh2601C

★★ rsh2601C事業場施設内における業務に就くための出勤又は業務を終えた後の退勤で「業務」と接続しているものは、業務行為そのものではないが、業務に通常付随する準備後始末行為と認められている。したがって、その行為中の災害については、労働者の積極的な私的行為又は悉意行為によるものと認められず、加えて通常発生しうるような災害である場合は、業務上とされている。
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○正解
 
作業前の準備行為や作業後の後始末行為については、業務災害に通常又は当然に付随するものと認められる場合は、業務災害とされる。ただし、業務に通常又は当然に付随する行為ではない場合は、単なる事業場施設の利用行為として業務外とされる。
詳しく
(昭和50年12月25日基収1724号)
(問)
1 事案の概要
 被災労働者は、午後4時20分作業終了後更衣をすませ着到(出勤時作業場の入り口で名札を裏返しにし、退勤時それを元に戻し、これを班長又は職長がチェックすることをいう。)したあと職場を出て(第1加工場)階段(10段)を降り、更に振り分け階段を1段降りた瞬間、階段のすべり止めに靴の踵が引っかかり前のめりになり転落負傷した。
(現場の状況)
 正門より約200メートルにて4階建の第3工場に至る。被災者の職場は2階の第1加工係であった。通常労働者は正門を経て第3工場に至り2階の作業場の入口において着到するが、所定労働時間外の早出残業にあたっては正門において、守衛がこの時間を記録することになっている。
傷病の部位及び状態
 右側頭部打撲、右下腿打撲、右膝部挫創
2 疑義の点
 (1) 疑 義
 業務終了直後、帰宅のために事業場施設内の階段を降りる行動は、たとえ、就業時間終了後であっても、業務に付随する最小限度の必要行為であるから、業務災害と認めてよろしいか。
 (2) 理 由
 事業場施設内における就業時間外の災害については、当該事業場施設の状況によって生じたことが認められない限り、業務外とされているが、事業場施設内における、本件の如き行為は、業務遂行上必要不可欠であり、たとえ、事業場施設の状況によったことが認められない場合であっても、何らかの救済がなされるべきであると思料する。
(答)
 本件については、業務災害として取り扱われたい。
(理 由)
1 事業場施設内における業務に就くための出勤又は業務を終えた後の退勤で「業務」と接続しているものは、業務行為そのものではないが、業務に通常付随する準備後始末行為と認められる
2 本件災害に係る退勤は、終業直後の行為であって、業務と接続する行為と認められること、当該災害が労働者の積極的な私的行為又は恣意行為によるものとは認められないこと及び当該災害は、通常発生しうるような災害であることからみて事業主の支配下に伴う危険が現実化した災害であると認められる
 したがって、本件については、業務災害として取り扱うこととする。
(引用:労災コンメンタール7条)
 労働者の就業の過程には、本来の業務行為のほか、その前後における準備又は後始末の過程が含まれているのが通常である。すなわち、始業前には、更衣、機械器具や作業環境の整備などの準備行為が行われ、終業後にも、機械器具の整備・返還、作業環境の整理、洗面、手洗、更衣などの後始末行為が行われる。汚染作業の場合には、終業後に入浴することも多い。
 これら一連の過程は、業務行為に通常又は当然に付随するものとして、業務行為の延長とみることができる。

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