労災保険法(第5章-②損害賠償との調整)rsh1103E

★★★ rsh1103E政府が支給をしないことができる保険給付の範囲は、同一の事由に関し被災労働者又はその遺族が受けた損害賠償に相当する額であるが、被災労働者が加害者から慰謝料、見舞金、香典等精神的苦痛に対する損害賠償を受けても、原則として政府の保険給付の支払義務には影響しない。
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○正解
 政府が支給しないこと(=控除)ができる保険給付の範囲は、保険給付の事由と同一の事由基づいて受給権者(遺族を含む)が受けた損害賠償額に相当する額であり、受給権者が、第三者から見舞金香典慰謝料等精神的苦痛に対する損害賠償や贈与と認められる金品を得ても、原則として政府の保険給付の支払義務には影響しない
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(平成8年3月5日基発99号)
1 労災保険法第12条の4第1項について
 第三者の行為による災害に対し保険給付をした場合において、法第12条の4第1項の規定により政府が取得する損害賠償請求権の範囲は、当該災害によって権利を侵害された労働者、遺族等の受給権者(以下「受給権者」という。)が第三者に対して請求し得る損害賠償額(慰謝料の額及び物的損害に対する損害賠償額を除く。)のうち、保険給付をした価額の限度に限られるものである。
 右の場合において、受給権者が第三者に対して有する損害賠償額の算定方法は、学説、判例等で多少の差異はあるが、本条に関する事例については、左の方法により算定すること。
(1) <昭57.3.12 基発第174号により削除>
(2) 災害の発生について労働者に過失のある場合
 災害の発生について、労働者に過失がある場合でも、第三者は損害賠償の義務を当然免れるものではなく、ただ裁判上損害賠償の額を定めるにあたってしんしゃく(斟酌)されるにすぎないものであるから、この種の事例について保険給付した場合でも、なお、政府は前述(1)の方法によって算定した損害賠償額を保険給付の価額の限度で求償することを得るのであるが、災害発生について明らかに労働者に過失があると認められる場合には、当該災害の取調を行った警察署長、地方法務局長等関係官庁の意見を徴して労働者及び第三者の過失の割合を決定し、その割合によって前述(1)の方法で算定した損害賠償額を減額したうえ、その額を保険給付の価額の限度で求償すること。なお過失相殺を行う場合の損害賠償額の算定方法は左によること。
(イ) 当該災害において、労働者のみが負傷(死亡)し、第三者には被害のなかった場合には、前述(1)の方法により算出した損害賠償額に、第三者の過失の割合を乗じて得た額とすること。
(ロ) 労働者及び第三者の双方が当該災害によって負傷(死亡)した場合には、前述(1)の方法により、それぞれ労働者及び第三者の取得すべき損害賠償額を計算し、その額に他の当事者の過失の割合を乗じて得た額をもって労働者及び第三者の当該災害により取得した損害賠償額とし、両者を相殺したうえ、なお受給権者が第三者に対し損害賠償を請求し得べき額が生ずる場合には、その額を保険給付の価額の限度で求償すること。
2 労災保険法第12条の4第2項について
(1) 法第12条の4第2項にいう「同一の事由につき損害賠償を受けた場合」とは、保険給付のなさるべき事由と同一の事由に基づく受給権者が損害賠償額の全部又は一部を得た場合をいう。したがって、受給権者が第三者より慰謝料、見舞金、香典等積極的苦痛に対する損害賠償又は贈与と認められる金額を得た場合は、原則としてここにいう「同一の事由について損害賠償を受けた」場合に該当しない
 (2) <平8.3.5 基発第99号により削除>

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