労働一般(第3章-1男女雇用機会均等法)rih1305D

★ rih1305D厚生労働省は、企業がコース別の雇用管理を行う場合に男女雇用機会均等法に沿った適正な内容となることを狙いとして、「コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針」を示している。同指針においては、各コースの運用が男女双方に同一であることを求めており、たとえば「総合職」は男性のみ、「中間職」や「一般職」は女性のみといった制度は男女雇用機会均等法に違反するとしている。
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○正解
 コース等別雇用管理を行うに当たって、①一方の性の労働者のみを一定のコース等に分けること、②一方の性の労働者のみ特別な要件を課すこと、③形式的には男女双方に開かれた制度になっているが、実際の運用上は男女異なる取扱いを行うことは、男女雇用機会均等法違反とされる。
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(平成25年12月24日厚生労働省告示第384号)
第4 コース等別雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項
一 事業主は、コース等の新設、変更又は廃止に当たっては、次に掲げることに留意することが必要である。
(法に直ちに抵触する例)
(1) 一方の性の労働者のみを一定のコース等に分けること。
(2) 一方の性の労働者のみ特別な要件を課すこと。
(3) 形式的には男女双方に開かれた制度になっているが、実際の運用上は男女異なる取扱いを行うこと。
(制度のより適正かつ円滑な運用をするために留意すべき事項の例)
(1) コース等別雇用管理を行う必要性及び当該コース等の区分間の処遇の違いの合理性について十分に検討すること。その際、コース等の区分に用いる基準のうち一方の性の労働者が事実上満たすことが困難なものについては、その必要性について特に注意すること。
(2) 労働者の納得が得られ、長期的な職業設計をたてることができるように制度運営がなされることが肝要であることを踏まえ、コース等の区分間の職務内容及び職務上求められる能力を明確にするとともに、労働者に対し、コース等の区分における職務内容、処遇等を十分に説明すること。
(3) コース等の新設、変更又は廃止に際して、処遇を変更する場合には、その内容及び必要性を十分に検討するとともに、当該コース等に属する労働者及び労働組合に対し、十分に説明しつつ慎重に行うこと。またその場合には、転換制度の活用等経過措置を設けることにより柔軟な運用を図ることも考えられること。
(4) コース等を廃止する際、当該コース等に属する労働者の多くが一方の性の労働者である場合には、結果的に一方の性の労働者のみに解雇その他不利益な取扱いがなされることのないよう、教育訓練の実施等により他のコース等への円滑な転換を図る等十分な配慮を行うこと。
(労働者の能力発揮のため実施することが望ましい事項の例)
(1) コース等の区分に分ける際、労働者の従来の職種等に関わらず、その時点における意欲、能力、適性等を適切に評価するとともに、当該労働者の意思を確認すること。
(2) コース等の区分間の転換を認める制度を柔軟に設定すること。その際、労働者に対し、コース等ごとの職務内容、処遇の内容等の差異について情報を提供するとともに、労働者の意向等を十分に把握した上で、例えば、次の事項に配慮した柔軟な運用を図ることも検討すること。その際、女性労働者の活躍推進の観点から、コース等の区分間の転換を目指す労働者の努力を支援すること等に配慮した制度設計を行うことが望まれること。
i) 転換が区分間相互に可能であること。
ii) 転換の機会が十分に確保されていること。
iii) 転換の可否の決定及び転換時の格付けが適正な基準で行われること。
iv) 転換を行う労働者に対し、これまでのキャリアルートの違いを考慮した教育訓練を必要に応じ受けさせること。
二 事業主は、コース等別雇用管理における労働者の募集又は採用に当たっては、次に掲げることに留意することが必要である。
(法に直ちに抵触する例)
(1) 募集又は採用に当たり、男女別で選考基準又は採用基準に差を設けること。
(2) 募集又は採用に当たり、合理的な理由なく転居を伴う転勤に応じることができる者のみを対象とすること(いわゆる「転勤要件」)又は合理的な理由なく複数ある採用の基準の中に、転勤要件が含まれていること。
ただし、法上、総合職の女性が相当程度少ない場合に、例えば総合職の採用に当たって、女性を積極的に選考すること等女性優遇の措置をとることは許容されていること。
(制度のより適正かつ円滑な運用をするために留意すべき事項の例)
(1) 募集又は採用に当たり、応募者の自主的なコース等の選択を促進する観点から、応募者に対し、コース等ごとの職務内容、処遇の内容等の差異について情報を提供すること。
(2) 募集又は採用に当たり、合理的な理由により転勤要件を課す場合には、応募者に対し、可能な範囲で転勤要件に関する情報を提供すること。
(労働者の能力発揮のため実施することが望ましい事項の例)
(1) 採用時にはその雇用する労働者をコース等に区分せず、一定の勤務経験を経た後に、当該労働者の意欲、能力、適性等に応じて区分することも一つの方法として考えられること。
(2) 採用担当者等に対する研修の実施等により、性別に関わらず、労働者の意欲、能力、適性等に応じた採用の実施の徹底を図る等の対策を講じること。
(3) コース等別雇用管理を行う事業主においては、一般的に、事業の運営の基幹となる事項に関する企画立案、営業、研究開発等を行う業務に従事するコース(いわゆる「総合職」)に女性労働者が少なく、定型的業務に従事するコース(いわゆる「一般職」)に多い等の実態があることから、総合職の女性が相当程度少ない状況である場合には、その募集又は採用に当たり、女性応募者を積極的に選考することや女性応募者に対し、採用面接の際に女性の活躍を推進する意思表示を積極的に行うこと。
三 事業主は、コース等別雇用管理における配置、昇進、教育訓練、職種の変更等に当たっては、次に掲げることに留意することが必要である。
(法に直ちに抵触する例)
配置、昇進、教育訓練、職種の変更等に当たり、男女別で運用基準に差を設けること。
ただし、法上、総合職の女性が相当程度少ない場合に、例えば、コース等転換制度を積極的に用いて、一般職女性の総合職への転換促進を図ることは許容されていること。
(制度のより適正かつ円滑な運用をするために留意すべき事項の例)
コース等ごとにそれぞれ昇進の仕組みを定めている場合には、これを明確にすること。
(労働者の能力発揮のため実施することが望ましい事項の例)
一般職についても、相応の経験や能力等を要する業務に従事させる場合には、その労働者に対し、適切に教育訓練等を行い、その能力の向上を図るとともに、当該労働者の意欲、能力、適性等に応じ、総合職への転換を行うこと。
四 その他
(1) コース等別雇用管理を行う場合において、制度を導入した後も、コース等別雇用管理の状況を把握し、それを踏まえ、コース等別雇用管理を行う必要性の検討及び法に則した雇用管理となっているかの分析を行うとともに、その結果、法に則した雇用管理への改善が必要と認められる場合においては、当該コース等別雇用管理を法に則したものとなるよう、必要な措置を講じることが重要であること。
(2) どのようなコース等の区分を選択した者にとっても家庭生活との両立を図りながら働くことのできる職場環境を整備したり、出産、育児による休業を取得しても、その後の労働者の意欲、能力、成果等によって、中長期的には処遇上の差を取り戻すことが可能になるような人事管理制度や能力評価制度の導入を積極的に推進することが重要であること。

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